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垣根を越えて仲間の気持ちをつむいでいく
仙台の秋を音楽で彩る定禅寺ストリートジャズフェスティバル。参加型のプログラム「JSFスウィングカーニバル」の会場では、楽器を持って集まった市民数百人による大合奏が行われます。人と人をつなぐ自由参加のステージは、音楽によるまちづくりを目指す企業との協働により実現しました。
※この記事は「協働まちづくりの実践」と同じ内容を掲載しています。
公益社団法人定禅寺ストリートジャズフェスティバル協会
木村 真介さん/相原 美和さん
株式会社ヤマハミュージックジャパン(おとまち)
佐藤 雅樹さん/伊藤 亜津子さん
株式会社山野楽器仙台店
定禅寺ストリートジャズフェスティバル(JSF)のプログラムの一つである「JSFスウィングカーニバル」は、愛用の楽器を抱えて会場に集まった人たち総勢数百人が一つの音楽をつくり上げる音楽祭です。子どもからお年寄りまで、音楽が得意な人もそうでない人も、会場に足を運べば誰でも演奏を楽しむことができます。主催は定禅寺ストリートジャズフェスティバル協会。音楽により地域の課題解決や魅力向上に取り組んでいるヤマハミュージックジャパン「音楽の街づくり推進課」(以下、おとまち)との協働により構想を立ち上げ、3年間の話し合いの末、2011年に開催が実現しました。
元々は年々増加する、JSFの選考に漏れてしまった方のステージ確保という課題解決が始まりでした。しかし次第に、就職、結婚、出産といったライフステージで音楽から離れてしまった人たちや、吹奏楽経験者などが楽器を再び手に取り、音楽への思いと演奏する喜びを分かち合う場になってきました。定禅寺ストリートジャズフェスティバル協会の木村さんは「数千人の人波が対流する晴れやかな場所で、自分たちの音楽を存分に発揮できるプログラムなんですよ」と語ります。
仙台出身である「おとまち」の佐藤さんがJSFのことを知ったのは東京に出てからでした。「仙台でおもしろいことをやっていると聞いて、軽い気持ちで見に来たんですが、衝撃を受けました」と当時の感動を振り返ります。
JSFスウィングカーニバルの取り組みについて、佐藤さんは「単独ではできません。演奏者、ボランティア、企業が協働して初めて物事が回ります。垣根を越えて理解し合ったことで仲間意識が生まれ、継続につながっています」と言います。
楽器を持っていない人に無料で貸し出されるパーカッション。
ゲストミュージシャンとしてプロのナビゲーターを迎えた2012年の開催からは、参加者がソロを披露するコーナーが生まれ、エンターテインメント性が出てきました。2016年からは仙台出身のトランぺッターがナビゲーターの役目を務めています。さらに、プログラムを立ち上げ展開してきた「おとまち」のノウハウを、地元楽器店である山野楽器仙台店が引き継いでイベントをサポートするなど、より地域に根ざした取り組みになってきました。
会場では演奏者と観客が一体化し、一つの音楽として昇華させていくという醍醐味を味わうことができます。
協会の相原さんに、10年後の関わり方を尋ねると「スタッフを卒業して観客になるのが理想です」と即座に答えてくれました。東京に住む「おとまち」の伊藤さんは「他の地域にこんな事例はありません。次は私も演奏者で参加したいです」と語ります。また、木村さんが「いずれ僕らが自由に楽しむ側になりたいです」と言えば、佐藤さんも「定年になったら観客になって、体中で音楽を思いきり楽しみたいですね」と夢を膨らませます。
今のメンバーが全員抜けても、この素晴らしいイベントを受け継いでほしい、仙台で続いていってほしいと願う皆さん。自ら音楽を楽しむことに始まり、異業種と協働することでその輪を広げてきたビッグイベントは、さらに人々の熱い思いによってさまざまな相乗効果を生み出しながら継承されていきます。
(取材・文:市民ライター 大林 紅子)
ゲストミュージシャンと演奏を支えるホストバンド。
公益社団法人定禅寺ストリートジャズフェスティバル協会
〒980-0803 仙台市青葉区国分町3-8-3 新産業ビル304
Mail: info@j-streetjazz.com
Tel: 022-722-7382/Fax:022-722-8461
株式会社ヤマハミュージックジャパン
〒108-8568 東京都港区高輪2-17-11
Tel: 03-5488-5438/Fax: 03-5488-5076